Nakaji(ナカジー)の日々のギターとか音楽ネタとか。     ~Slight Return~

Nakaji(ナカジー)です。ギター弾いてます。講師も。気まぐれで採譜したTAB譜を公開したり、ギタリスト主体の音楽ネタや自身の日々を緩く書いていきます。                  更新は不定期ですが最低でもひと月に一回は何か書きます。諸々のご連絡やご依頼はCONTACTからどうぞ。

密かな憧れ、マカフェリギター。Gitane 'D-500'


マカフェリギター、という名前を聞いたら多分多くの人はどのような楽器か知ってる、もしくは全く知らないのどちらかみたいな感じだと思います。
見ての通りアコースティックギターなのですが、独特なサウンドホールが特徴で、主にジプシー・ジャズに使われるギターです。
ジプシー・ジャズギターの生みの親のジャンゴ・ラインハルトが愛用した事で、このジャンルにおけるひとつの様式が決まり、ジプシー・ジャズをやる人はこぞってこのマカフェリ・タイプのギターを使います。
ジャンゴが使っていたのはセルマーという会社が作っていたもので、当時僅か1000本程度という生産数で終売しているのでオリジナルのセルマー/マカフェリは物凄いプレミアがついています。
なので僕のこのGitaneを含むいくつかのメーカーがそれらを再現したレプリカを作っています。


ちなみにマカフェリ・ギターという呼称の由来ですが、マリオ・マカフェリという職人が製作した為そう呼ばれてます。
特徴的な呼称なので、ジプシー・ギターの総称として用いられる事が多いですが、これは厳密にはマリオ氏がデザインしたDホールタイプの名称であり、氏が退社したのちにセルマー社が製造したオーバル(O)ホール・モデルはセルマー・ギターと呼ぶので、本来名称を使い分けるのが妥当と思われます。
両方をひっくるめてジプシー・ギターと呼べばややこしい事にはならないですね。笑


それはそうとこのギター、ジプシー・ジャズ以外ではほぼほぼ目にしないギターかと思います。
この辺はあまり知りませんが、多分ジプシー音楽用に製作されたものでもなく、ただ単にジャンゴが気に入って使ってジプシー・ジャズを開拓、普及させていった事でその後の位置が決まってしまったという感じじゃないでしょうか。
偶然の巡り合わせだったにしてもサウンドの相性は替えが利かない程のマッチングで、実際ジプシージャズをこれらのギター以外でやるのはコレジャナイ感がハンパないです。笑
かのビレリ・ラグレーンもインタビューで「何故ジプシー・ジャズのギタリストは皆マカフェリ/セルマーを使うのだと思いますか?」という問いに対して「ジャンゴが(マカフェリ/セルマーで)築き上げた音楽だから。あの音じゃないと駄目なんだと思います」と答えてます。


サウンドは独特で、一般的なアコースティックギターの音色を「ジャカジャカ、ジャラン、ポロロン」みたいに表現するならマカフェリは「ザカザカ、ザッ、ザッ、ピキピキ」って感じにかなり攻撃的に僕には聴こえます。
全体的に硬めの音色で、僕のは大きなDホールなので、音量もめちゃくちゃ大きいです。笑
弦もジプシー・ジャズ弦なるものを使用してるそうです。本来ならピックもそれ用のを使う必要があるそうですが、とりあえずは愛用の'Dunlop JazzIII'で弾いてます。
ジプシー・ジャズピックは基本的にかなり分厚めのようです。

前述の通り、DホールとO(オーバル)ホールの二種類があり、Dホールはバッキングに向いてて、やや小振りなホールのオーバルホールのものはソリスト向きらしいです。

そういえばAriaからも新品で非常に安いマカフェリギターが販売されていて、それと中古のGitaneどちらにするか迷ってましたが(というか値段的にAria狙いでした)、幸い同じ店にどちらも在庫があったので弾き比べてみたところ、断然Gitaneの方が好きな音と弾き心地でして、安いとはいえAriaにすると後悔しそうだったので、少し無理してGitaneにしました。
(僕は価格差で価値を決めたくない人ですが、実際かなり音に差がありました)
Gitaneは日本だと新品で10万、高くても15万くらい(中古だと7、8万くらい)の価格のものがよく出回ってるため、コスパ重視な位置付けとも採れるメーカーですが本職の人のシグネチャー出てたり、その完成度の高さと値段のリーズナブルさには定評あるようです。(結構高いのもあります)
中古購入なので最初の状態は知りませんが、現状では問題無く、とても気持ちよく弾けますし、少し作りの粗さは見えるものの「そういうものなのかな」で処理できる範囲かと思いますね。

前々から憧れあるギターでしたし、近場で中古探しても中々見つからなかったので今回の買い物は良いものに巡り会えたと思います。


買ったからには勿論ジプシー・ジャズも練習します。笑


ジャンゴ・ラインハルトのフリーなアドリブソロです。驚異的な上手さですね・・・。とても指にハンデがあるとは思えません。