こちらは中国メーカー、Demonfxによるオーバードライブ。
見ての通り、アナログマンのパクリです。
やってんねえ!!
この手のパクリペダルはMosky Audioの攻め具合に驚愕してましたが、
それを超えるレベルの偽物を作るのがこのDemonfxです。
いまどき回路のパクリは珍しくないですが、ガワまでソックリにしてくるのは中々にライン越えです・・・。
このメーカーを知らない方は是非他の製品も見て下さい。ビックリしますよ・・・。
グレーな製品を出すDemonfxですが、クローンの精度は高いようでそれなりに評価を得ている印象です。
実は回路設計や製造のノウハウはMoskyと同じところでやってるようで、実質的に同系列のメーカーみたいですね。
前々から存在は知ってましたが、如何せん国内でまともには流通しておらず、
基本的にはAliExpressといった中国サイトから輸入するしかありません。
僕は国内で中古購入しました。
このKing of Driveの価格は新品で1万円程。(直輸入の場合)
こっちでの中古相場は5000~6000円くらいでしょうか。
本家アナログマンは入手困難の為、中古でも10万円を余裕で越えますのでそれを考えると相当安いです。
元ネタとなるアナログマンのKing of Tone(KOT)について軽く触れておきますと、
Marshall ''Blues Breaker''の回路を基にアナログマンが改良/発展させて作ったオリジナルエフェクターです。
ギタリストのジム・ウィダー(The Band)からのフィードバックをもらいながら日本人のエンジニアと協力して設計した自信作らしいですが、
バックオーダーの消化が遅すぎて2024年現在でようやく2018年の受注分を納品してる状況です・・・笑
正規に注文すれば325ドル(※発売当初は250ドルくらいでした)で買えるとはいえ、注文したところでいつ届くかは分からない、というのが高騰している理由です。
いくら音が良くてもこの入手性の悪さは現実的ではなく、
興味が湧きづらいペダルでしたが、最近お気に入りのギタリストのDave Scherのボードに入ってるのを見て欲しくなり、
ひとまずクローンを買うに至りました。
すいません。
前置きが長くなりましたが、そろそろ本題に移ります。
とりあえず結論から言うと音はかなり良いです。
僕はこういう稀少性や値段が話題にされがちな機材には懐疑的な性格ですが、
素直に良い音だと思います。(偽物で語るな!って話しですが・・・)
本家KOTを弾いたことがないので違いは分かりませんが、
本家がこれより良い音だとしたら『良い音ってなんやろ?』て感じる程度には良い音です。(偽物で語るな!って話しですが・・・)
アナログマンの製品は過去に名機''Clone Chorus''や''Bi-Comp''も所持してましたが、やっぱり流石だなと思います。
反面、筐体に関しては塗装やプリントが露骨にチープですね・・・。
色味は本家のような深みある紫ではなく、かなりチャチく赤みがかった感じなので遠目にも偽物なのは分かります。
なんていうか真似してるとはいえ改変要素のせいで、本家に比べてストレートにダサくなってます。
中央の方位マークのショボさとかメーカーロゴもですけど、
なんやろ? 質感以前に赤と金の色合わせが悪いんかな??
そう考えると本家のカラーバランスは絶妙ですね・・・。
内部の写真。
本家の写真は控えますが、ビックリするほどのコピーぶり・・・。
基板レイアウトは勿論、抵抗の種類も使い分けられてたりとコダワリを感じます。
スイッチやジャック、ポット周りの品質は劣りそうですが、電解コンデンサはワンチャン本家より良くないか・・・?
驚きなのは本家だとアップチャージ要素の【ハイゲイン(※)】モードがスイッチで自由に設定可能なこと。
(※全体の約15%を持ち上げるそうで、世間的なハイゲインとは意味が違うらしい)
あとはポットにホコリ除けカバーが取り付けられてる気遣いもよし。
LEDは本家がレッドとイエローなのに対して、レッドとブルーでした。
チャンネルは二つで、シンプルに同じ回路が直列で二台という構成です。
内部Dipスイッチでゲイン領域を
・Boost(クリーン)
・OD
・Dist
の三段階から設定できます。
それに加えて上述のハイゲイン・モードにも設定できる、という事ですね。
ちなみにアナログマン本人の推奨セッティングは、
・右側(前段) の方をより歪む設定にしておく、
だそうです。(後段のゲインをプッシュしたり、後段側でボリュームブーストもできるから)
個人的にはクランチ~ODくらいまでが美味しいペダルに思いますが、
ここぞという時に対応できる守備範囲の広さは有っても困らないポイントです。
僕は一通り試したうえでアナログマンの出荷設定(左:Boost、右:OD)にしました。
Dipスイッチの他にもプレゼンストリマーがあります。
アナログマンの出荷設定だと完全に絞り切りがデフォのようですが、
音が暗いと感じる人はここで明るく出来ます。
(僕は基本真ん中くらいで、前段側をやや抑えめです)
そして肝心の音!
さっきも書いたようにかなり良いです。
特にクランチが絶妙で、ジャキジャキとしつつもあまり耳に痛くない心地良い歪み。
こういうのってダイナミクスレンジは欲しくても歪みやコンプ感が少なすぎると角が立ち過ぎたり、味気なかったり、そういうのとはまた違うタイプのクランチです。
トランスペアレント系とも評される事がありますが、Timmyとも違いますね。
適度にローがカットされるのか、クランチとしては丁度良い位置に来てくれる印象です。
特にシングルコイルとの相性が良いかもですね。(ハムも良いです)
両ch同時オン時のバランスは良好で、音色の変化も少なく許容範囲。
そしてノイズも少なめ。
ジャンル的にはブルース、カントリーからロックやポップス、ゲインを求めるようなハードロック系なら70年代くらいまでのゲイン感でしょうか。(ロックは範囲広過ぎなので一概には言えませんが・・・)
よほどモダンな演奏性の音色を求めなければ、困る事は無いと思います。
やはり同じ回路が二つという利点は大きく、組み合わせに破綻が生じにくい気がしますし、
前段・後段の役割を臨機応変に設定できるので、音色さえ気に入れば迷いが少ないです。
ちなみに電源についてDemonfxの説明によると、9vで消費電流は100ma(多過ぎやろ・・・)とされてますが、
アナログマン本家は『6~10maもあれば足りる』と言ってます。
クローンするにあたりアナログ回路で極端に電流量が増えるとは思えないので、
同じく10maくらいじゃないかと推測します。・・・が、真相は不明。
普通に良い歪みだったのでスペアでもう一台欲しいくらいですね。
ここからは余談ですが、
僕と同じく『KOTなんて買ってられない』という人で、尚且つクローンに抵抗がある人にはMXRとのコラボでミニサイズになった''Duke of Tone''という機種が現行で出てますので、
シングルchのみでもOKならそちらも良いでしょう。・・・お値段はまあまあします。
MXR ( エムエックスアール ) / CSP039 Duke of Tone オーバードライブ
クローンでもイイなら比較的国内で入手しやすいのは、JOYOの''King of Kings''というモデルですね。
こちらは従来通り2ch仕様のKOTクローンです。
内部スイッチを表面に出しているので、より操作性は高まっていると思います。
実際の音に関しては未確認ですが、比較動画を見る限りは遜色なさそう。