前回のガースドの教則に続き、同じところから出版されているスコット・ヘンダーソンの教則です。
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タイトルは、''OUTSIDE THE BLUES''
ド直球にもほどがありますね・・・。
もうお分かりの通り、ブルース進行におけるアウト・フレーズのノウハウが説明されており、
全ての譜例はスコット本人による演奏音源に対応しています。(※CDではなくmp3ダウンロード方式)
全部で105ページほどで、基本的には短い譜例毎に解説がつくというよくある構成です。
短い譜例というのは、リックにもよりますが、概ね2~8小節程度ですね。
終盤はブルーストラックに1コーラス以上の尺でのソロ譜例も載っています。
なので、序盤は仕組みと用法、最後は全体のおさらいみたいな流れです。
ちなみに最初の1譜例だけコンピング例がありますが、それ以降は全て単音のソロですね。
そしてアウトサイド以外にもスコット的なアーミングのパターンや、普通にブルースを弾くような譜例も載ってます。
洋書なので、解説をスムーズに読めない僕には勿体なさがありますが、
ブルースなだけに全て7thコードに対するスケール/テンションの扱いが主軸なので、
ドミナントコードの扱いが分かってれば譜例だけでも意図を把握出来ると思います。
スコットの演奏は相変わらずカッコイイですし、譜例も充実してますが、
初歩的なエクササイズから基礎を学ぶ、というスタイルではない点には注意が必要かもです。
おそらくですが、執筆者がスコットと対談しながらその場で弾いてもらったソロを切り取って収録してる感じなので、
基本的にエクササイズはなく、『解説付きのソロフレーズ集』みたいな内容です。
ひょっとしたらスコット的には、あとから解説を加えやすいような意識で弾いてるかもしれませんが、だいぶソロ色が強めな譜例です。笑
でもまあ実践的なものを求めるならこのほうが良いと思います。
なんていうか解説するために『1小節のフレーズを用意しました』みたいなフレーズは教則的には丁寧ですが、作りやシチュエーションが堅苦しくなる気がします。
コンセプト的にもある程度の理解があるプレイヤー向けな本ですが、
とりあえずスコットのファンには面白いと思いますし、ちゃんと実践的な内容です。
・・・が、自分で分析出来る人なら適当にスコットの音源を耳コピするのもたいして変わらないとも思います。笑
というのもこれがトライバル・テックとか特異なコード進行を用るような曲から分析するなら大変ですが、スコットのブルースアルバムからでもコード的に同じ分析しやすいはずなので・・・。
採譜の労力をカットしたくて尚且つブルースに焦点を当てたい人にはピッタリです。
もしくはスコットの分析を『答え合わせしたい人』には特にイイかもですね!
やはり本人が『これはこう!』って説明してくれてるのは間違いないですからね。