Nakaji(ナカジー)の日々のギターとか音楽ネタとか。     ~Slight Return~

Nakaji(ナカジー)です。ギター弾いてます。講師も。気まぐれで採譜したTAB譜を公開したり、ギタリスト主体の音楽ネタや自身の日々を緩く書いていきます。                  更新は不定期ですが最低でもひと月に一回は何か書きます。諸々のご連絡やご依頼はCONTACTからどうぞ。

やや複雑な存在。Fender Mexicoの''Squier Series''

引き続きメキシコ製フェンダーの話です。

前回で終わらすつもりが、せっかくなので''Squier Series(SS)''についても書いておきます。

主にこのシリーズの特徴と見分け方といった内容になります。とはいえ間違った部分もあるとは思いますので、お気づきの点あれば気軽にコメントにて訂正や情報提供下さると幸いです。

 

 

まず、本家のUSA製Fenderの廉価製品としてMexico製がある事は前回書きましたが、その中でも更なる廉価ラインナップに''Squier Series(SS)''があります。

これは現在流通しているフェンダーのライセンス下において最も安価なアジア製''Squier''とは違い、''Made in Mexico''の中でのラインナップです。

製造期間は短く、大体93〜98年くらいのようです。

※以降、それぞれMEX、SSと呼称して記述します。

 

SSの主な特徴としては、基本的には同時期のMEXと並んだ仕様ですが、コストダウンのためにペグやピックガード等のハードウェア面をより安価なものに変更して製造していました。

例えばペグは角ばったデザインの物で、これは韓国のSamickというメーカーのものだそうです。

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そしてピックガードはMEXが3プライなのに対して1プライになっています。

さらにヘッド先端スペースに「Squier SERIES」と印字されています。これが一番見分けやすいですね。

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ボディ材にはポプラを使ってると言う情報もあります。それ以外の仕様は通常のMEXと同じです。ただ、この年代のMEXにもポプラが使われる事があったそうでちょっと曖昧です。

 

ランク的には当時のフェンダーで一番下になりますが、材やパーツ以外の作りはスタンダードなMEXと変わりませんので考えようによってはコスパは悪くないと思います。

値段的にも今の中古市場で高くても3万半ばくらいで売られていますね。

 

 

あと、このシリーズについて少し調べて分かった事ですが、この年代のメキシコはどうにもSSとMEXがごっちゃになってる感じありますね・・・。

本来、この二つのシリーズは明確に分けられているはずですが、90年代の一部のMEXにも稀に廉価パーツが使用されているようでして、場合によっては識別が困難な個体があります。

判断する箇所としては先ほど書いたようにピックガードやヘッドロゴがあるのですが、中古の場合はピックガードなんて替えられてるかもですし、ロゴも削り取られている可能性(実際海外ではそうした人は多いらしい)や、そもそも製造段階でロゴが無いケースもある(信憑性の程は分かりません)とかでハッキリしないんですよね・・・。

シリアルで見る場合は"MN3(~9)******''の範囲の製造品だとSSの可能性は考えられます。(Fender社に照合を頼もうにも90年代に大規模な火災があったとかで丁度この時期のデータが飛んでいるらしい)

他には海外の掲示板によると、ボディのネックポケットに「Squierスタンプ」があるとの情報も見つけました。

 

以上がSSのややこしい部分です。

二つがごっちゃになってる理由は、おそらく共通したストック材から組み立てる方法の製造かと思うので、その時々の都合でイレギュラーに組み合わせて出荷してる個体もあったんじゃ無いかってのが僕の考えです。工場火災も関係してるかもですね。

これらは海外の掲示板等の会話内容から得たりした情報もありますが、やはり向こうも同じで90年代MEXとSSの曖昧さについて議論し合ってるみたいです。

 

 

なぜわざわざこんな事をまとめたかと言うと、SSはやはり廉価モデルなのでちゃんと識別して購入したいという一心で調べてる人もいると思うんですよね。

20年以上前の限定的なラインナップなので今の時代に中古で見かけると「なんだこれは?」ってなる人も多いでしょうし、先述の「曖昧さ」のせいで楽器屋も正確にSSとMEXを識別して値付けできているか分かりません。

「実はSSなのに普通のMEX扱いで売ってたり」って事もあるかもです。特にオークションなんかだとうっかり以外にも意図して偽る人もいるかもですね。(例:『当方楽器に詳しくはありませんがヘッドにMexicoと記載あります』....等々)

それくらい曖昧な個体があります。

このように万が一にSSをMEXと誤って値付けしてしまっている場合、コンディションにもよりけりですが一般的な市場価格で考えると1~2万は余分に上乗せされてる事になります。

まあ楽器なので個体が良くて気に入れば関係ない話しかもですが、ラインナップとしての相場を基準にするなら明らかに損ですので・・・笑

 

しかし、パーツが違ったところでメキシコ製なのは変わりなく・・・という事はUSA製とも同じ機械・工法で作られており、純粋なフェンダーにもあたります。

検品のさじ加減の差やOKラインの基準は分かりませんが、なんだかんだSSもフェンダーです。

この事は海外ユーザーも同じで、SSが廉価製品という事には必ずしもネガティブにはなっておらず、個体の引きによっては安くフェンダーを手に入れる有効な手段にもなるという意見もあります。

実際にMEXと両方持ちながらもSSの方が良個体だった、と言ってる投稿も見かけますね。

 

 

余談ですが、ヘッドの裏に丸いシールのようなものが付いてる個体がありますが、これは特別な仕様という訳ではなく、フェンダー社の50周年を記念して1996年に製造された全てのフェンダーギターに取り付けられているものだそうで特に付加価値はありません。勿論同年のSSにも付いてます。

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ちゃんとまとめきれてるか不安はありますが僕なりに集めた情報を載せてみました。

最初にも書きましたが誤りや憶測も含むかと思うので詳しい方やお気づきになった点ありましたら気軽にコメント下さい。