前回、前々回と書きましたコード知識の話しの3回目です。
今の所は基本となるダイアトニックに加えて、モーダルインターチェンジによる借用や全てのコードを7th化するといったバリエーションを紹介しました。
今回はそれらを踏まえた上で
【パッシング・ディミニッシュ(ディミニッシュ・コード)】について解説したいと思います。
まず、ディミニッシュ・コードについて・・・皆さんもご存知の通り、短3度ずつの積み重ねで構成される和音で、少し不穏な響きを持っているのが特徴です。
ジャンル問わず幅広く見かけるコードですが、ホラーとかサスペンスの演出で露骨な使われ方をされる印象があります。笑
メタルでとりわけネオクラとか弾く人には主要コード/スケールと言えますね。
短3度で3声積むとディミニッシュ(Dim)、4声でディミニッシュ・セブンス(Dim7)となります。
ここでは4声まで積んだディミニッシュ・セブンス(Dim7)で話しを進めます。
【用法】
使い方で一番分かりやすく効果的なのが、何かしら隣接する二つのコードの間に置いてお互いを繋げる(橋渡しする)、パッシング・ディミニッシュという方法。
解決先のコードはメジャー/マイナーを問いません。
少し例を出してみます。キーはCです。
|| CM7 | C#dim7 | Dm7 | ~
これは解決先がDm7となっており、半音下からC#のDim7で繋ぎました。
CとDmの間を半音で埋めるカタチでC#dim7を使う事で、結果的にベースラインが半音ずつ上昇し、流れに滑らかさが出ました。
次は下降の例。
|| Em7 | E♭dim7 | Dm7 | ~
こちらも解決先はDm7ですが、半音上のE♭からとなっています。
基本的には、上記の例のように、
二つのコード同士の隙間を半音で埋めるようにディミニッシュを差し込む、という方法だけ把握しておけば大体は問題無いです。
【展開系】
そして更にディミニッシュは構成音の性質上、短3度刻みで等間隔に展開していけるのも強みです。
例えば、C#dim7の場合であれば、そこから短3度ずつの間隔にあるEdim7、Gdim7、B♭dim7も並行して存在します。
という事は、先ほどのコード進行のC#dim7の小節では以下のようにコードを水増しする事も出来ます。
|| CM7 | C#dim7 Edim7 | Dm7 |~
(ベースを半音で進行させる意図からは離れますが・・・)
この場合は解決先のDm7に対して全音上にあたるEdim7からのアプローチになります。
残りの展開系のGdim7、B♭dim7も同様に使えますが、ベースラインの動きには気をつけたほうがいいですね。
注意点として、下降の流れでは無理に展開せず、素直に半音ずつで繋がるようにした方が耳馴染みは良いと思います。
これは僕の感覚もあるかも知れませんが、半音下降時に展開系で動かす場合は上昇ほど無理が利かない印象です。
一応、例を出しますと、
|| Em7 | E♭dim7 Cdim7 | Dm7 |~
どうでしょうか? Dm7に半音進行で解決する為に一旦E♭dim7を挟んだ上でその展開系のCdim7も経由してみたパターンなのですが、ディミニッシュを使う旨味は感じられません。
展開系なので一見、理屈的には問題無いようですが、ベースの動きに無理が生じているのが原因ですね。
(これはそもそも上昇/下降では厳密には機能している理屈が違ってる為だと解釈してますが、その説明は一旦この場では割愛します)
以上を踏まえて大まかに使い方をまとめると、
・コード同士の繋がりが半音進行での上昇/下降になるように、解決先のコードの半音下、もしくは半音上に差し込みアプローチする。
・ディミニッシュ一つに対して、同時にそこから短3度の間隔にある他三つのディミニッシュも存在する。
・展開系を使用する事で半音進行の用途から外れる場合、下降時は聴感上の注意が必要。(というよりは想定される機能から外れてしまう)
といった感じでしょうか。
正直、理屈込みでなら他にも書く事がありますが、とりあえずは「細かい事は抜きに」というコンセプトでの解説なので、ややこしい話は保留としてます。