Nakaji(ナカジー)の日々のギターとか音楽ネタとか。     ~Slight Return~

Nakaji(ナカジー)です。ギター弾いてます。講師も。気まぐれで採譜したTAB譜を公開したり、ギタリスト主体の音楽ネタや自身の日々を緩く書いていきます。                  更新は不定期ですが最低でもひと月に一回は何か書きます。諸々のご連絡やご依頼はCONTACTからどうぞ。

Xotic Guitars ''XSC-2''

         

※長文注意。

 

Xoticのストラトです。

フェンダーメキシコのテレキャスに移行してからは、それまでのハイエンド系(主にSuhr)を全て手放したのですが、結局一本は手元に欲しくなり購入したものです。

 

Xoticのギターは過去に数本試した事がありましたが、どれも品質の高いギターで流石のクオリティという印象でした。

今回のXSCシリーズは、これまでのシリーズのようなモダンな方向性から一転してクラシックなスタイルになったラインナップです。

伝統的なボディシェイプやデザインに基づきつつも、指板アールやネックグリップは演奏性を重視したスペックになっているのが特徴です。

 

このレトロさとモダンさが良い塩梅のデザインに思います。実際そういう需要も考慮されてるようです。

又、Xoticといえばこれまでは国内製造もあったようですが、XSCシリーズに関してはUSA製という事になってますね。

 

 

《以下にスペック諸々書いていきますが、オーダー次第なので全てに共通したスペックでは無い事にご注意下さい》

 

まずこれは中古個体なので、僕自身で決めたスペックでは無いです。

 

指板はローズウッド(12R)ですが、本音を言うとメイプル(9.5R)の方が良かったですね・・・笑

ネック本体には流行りのローステッドメイプル(これは共通です)が採用されてます。ローステッドは環境の変化に強いのが売りですが、全く反らない訳ではなく、実際このギターのネックは動きます。

個体差もあるでしょうが、自分のものに関してはさほど恩恵は感じませんね。

ちなみにフレイムメイプルなので、ネック裏の見た目はゴージャスですが、自分には結構どうでもいい要素なので、寧ろ普通のローストメイプルにしてその分コストを落として欲しい派です。

なんならフレイムは剛性落ちるそうですし・・・。

 

フレットはニッケルジャンボです。ジャンボフレットに12R指板という組み合わせなので一般的にはテクニカルな演奏に向いてるとされるスペックですが、僕の好みはミディアムジャンボに9.5Rですね。

そういえばネックの幅が少し広く、弦間ピッチも11.2mmなのでこれまた少し慣れが必要でした。

 

ボディはアルダーです。

なので使用材は、アルダー/メイプル/ローズの組み合わせです。

 

ピックアップは全てRaw-Vintage製で、

60s系のシングルコイル''RV-60''に、PAF系のリアハム''RV-PAF''というレイアウトです。

60sなので少し甘く太めの印象です。50sもあるので枯れたジャキジャキ感を求めるならそっちの方が適してるかもですね。

RV-PAFは結構独特な音で、輪郭はローファイながら高域はパキッと出て粘りがあります。矛盾してそうな表現ですが僕にはそう感じる音です。

正直、耳が慣れるまでは使いにくかったのですが、ギター側のボリュームとトーンを積極的に使って音を作ると割と自由が効く音なのに気づきました。

なんとなくですが、ボリュームはフルアップ(10)よりは8〜9くらいを基本に音作りするとうまくいく感じかもです。

フルだとやや暴れがあるので、まとまりある音色が好きな人は少し使いづらさを感じるかもしれませんね。

当初は自分がそうで、リアだけ載せ替えようかとも考えましたが今となってはこれでいいです。

 

それとよく言われてる特徴ですが、このピックアップはシングルとハムの音量差が驚くほど少ないので、切り替え時に違和感が無いです。これは本当に良い。

載せ替えをやめた理由の一つでもあります。

 

 

主要スペックはこんなところでしょうか。

総じて作りの良さを感じる仕上がりで、木工や細部の加工は非の打ち所がないです。

レリックもイイ感じ。

 

 

次に演奏性について、

 

ネックグリップはモダンCシェイプが標準のようで、この部分はフェンダー的なそれでは無いですね。

前述のようにやや幅広なネックなので、厚みに対してネックは太めの手応えです。

「手に馴染むシェイプ」みたいな評判は聞きますが、自分は結構慣れが必要でした。

僕の場合、その辺りの感じ方はフレットサイズも関係してそうです。ミディアムジャンボだとまた違ってくるかも。

 

トレモロユニットの操作感も良好で、チューニングもとても安定しています。

ナットやフレットの加工精度が高いのだと思いますが、ポジション全体のピッチが良いですね。

 

 

 

基本的な仕上がりに間違いはないので素晴らしい完成度ですが、仕様上の不満点もあります。

まず、トラスロッド穴がネックエンドにあること。

要はネックを外さないとロッド調整が出来ないんですね。

 

オールドな作りからくる鳴り感だったりを踏襲した結果のこだわり仕様のようですが、それならモダンに作り変えてる箇所はどうなるんや・・・って気にはなってしまいますね。笑

 

ネックジョイントのヒールに関しても、同じくオールドスタイルで角ばった四角形なのでハイポジションにはどうしても干渉してきます。

ここはまあ仕方ないと思います。

 

 

 

あとこの個体特有かもですが、特に気になったのは弦高でした。

というのも変に高い?というか弾き心地に違和感があったんですよね。

当初は、自分でセットアップを試行錯誤しても一向にうまくハマらず、いつもなら「大体この手順でやってたら収まるんだけどな・・・」という方法が全く通用しませんでした。

 

しかもネック外したらシムが入ってたんですよね。笑

これは結構ショックで、自分としてはネック周りの精度を求めて買ったようなものなので、そこを根底から覆された気持ちになりました。笑

購入店には事前の明記は無かったので、その旨問い合わせたら「おそらく製造の工程で入っていたものと思われるので、明記してませんでした」との回答・・・。

なるほどね!

 

 

・・・・・・。(クッッッッソ不満そうな顔)

 

 

 

症状的にはハイポジションの弦高が高く、試しに1弦のサドルを限界まで下げても解決しなかったので結果として自分もシム(Stewmac製に変更)を入れて対応しています。

(シムについては上記記事を参照下さい)

ネックのハイ起き等も疑いましたが、比較的ストレートを保ってますし、「このネックでダメなら他のギターでもっと歪んでるけど普通に弾きやすいのあるよな」っていう事で、設計的な仕様かもと考えました。

工房に改造を依頼してもいいですが、手間と工賃が勿体無いですし、今はStewmacシムでかなり快適になっています。

 

ちなみに出荷時のシムについて、直接Xotiqueに質問をしてみたらとても丁寧に回答を頂きました。

「ある程度は憶測の範疇になるので、確実なデータにはならないかも」という前提ですが、

Xoticのネックは、「ヘッド側がやや起きる差し角」となるようにポケットを成形しているそうで、

それについて製造初期のロットは試行錯誤を繰り返していた事や、個体毎にネックとの兼ね合いを見て手作業でサンディングして仕上げるのでどうしてもバラつきはあったそうです。(要するに同じモデルだとしてもポン付けでネックの差し替えができないような工法)

なので個体によっては工房が出荷基準とする弦高では大丈夫でもそこから下げようとすると対応できないものも見かけたようです。

そういった場合にシムを入れて出荷された個体が存在しているかも知れませんが、日本に入ってきた個体を全てチェックしている訳では無いので断定は出来ません。

ただ、過去チェックしたものに関してはシム入りは見た事ありません。

 

といった内容でした。

(まあ、多分このシムは前オーナーが入れたんやろな。入れる気持ちは分かるで)

 

 

ともかく弦高の違和感がネックの差し角による仕様上のものかは分かりませんが、一旦はシムでなんとかなってます。

 

差し角の修正もXotiqueさんに持ち込めば現行品のノウハウでやってくれるそうなので、何かあるにしても長い目で見ていけばいいか〜、と構えてます。

 

ちなみにアレン・ハインズのシグネチャーの差し角は本人の要望でフラット/ストレートになっているようですね。

 

 

色々と最初に奮闘はありましたが、良いギターです。