CD語りシリーズの3回目です。
ちなみに順不同で思いついたものから紹介してます。
今回紹介するのは、John Sykesの''20th CENTURY''というアルバム。
彼のキャリアの中でも比較的新しい時期の作品です。
とはいっても97年リリースなので、もう20数年前ですが・・・。
サイクスといえば、Whitesnakeでの活躍が特に有名なので、そこから彼のソロアルバムや自身のバンドのBlue Murderあたりに流れていく人が多いのでは。
僕はといえば最初のサイクスの印象は『上手いけど個性を感じない』でした。
なんというかソロは基本的にペンタ中心ですし、速弾きもゲイリー・ムーアをよりストレートにしたような感じで、
派手だけどどこかピンとこない、って思ってました。
特に当時の僕はネオクラっぽいものや、メロディアスなソロ構成だったり、露骨に変なスケールが聴こえてくるのが加点対象だったので、
サイクスのようにストレート過ぎるアプローチはどうしても没個性的に聴こえてたんですよね。
でもバッキングワークには最初から感銘を受けてたので、それもあって興味が途切れなかったのかもです。
なんやかんやで聴いてくうちにソングライティング能力や、弾きながら歌える器用さ、音楽的バックグランドの広さに気づき、結構なファンになってました。
今でも好きな曲は多いですし、あらためて演奏もめちゃくちゃ上手いですね。
Whitesnakeでの2枚は勿論、Thin Lizzy、Tygers of Pan Tangでそれぞれ1枚、Blue Murderでの3枚を持ってます。
ソロ転向後は、今回紹介する''20th~''とバラード作の''Loveland''、04年の''Bad Boy Live!''だけなので、
全作品を揃えてるわけはないですが、フィルとの''Please Don't Leave Me''のアルバムも持ってたり、まあまあ追いかけてる方だとは思います。
本題ですが、この''20th CENTURY''はなんとなく買って、サイクス関係の中でも特によく聴いたアルバムです。
バンドパワー的にはどうしてもWhitesnakeの方が歴史的名盤としても強いので、
それもかなり聴き込みましたが、サイクス自身に興味が湧く作品という意味ならこの"20th~''が一番でしたね。
いつもどおりのサウンドと演奏ですが、
少しパンクっぽいものからメタリックなR&Bみたいなのもあったりで守備範囲の広いアルバムです。
特にパンクっぽいノリはBlue Murderの2ndあたりからちょくちょく聴ける印象ですね。
アルバム通して全体的にテンション高めで、爽快感があるので割と聴きやすいです。
ただ、珍しくバラードが無い作品でもあります。
そして、9曲目''Cautionary Warning''は一部で知られていますが、なんとアニメのOPに使われました。笑
かなりマイナーだと思いますが『課長王子』という作品。
これMADじゃなくてガチで使われてます。笑
この曲は僕が知る中で最もメタルなアニソンです。(語弊あり)
ちなみに作中ではMSGの''Into the Arena''がフル尺で流れるシーンがあります。
サイクスの特徴は図太いサウンドでのパワーコードに、単音ミュートの刻み、
ストローク的なリズムワークですね。
ズクズク弾いてると思ったら以外にも軽快なチャキチャキとしたストロークも多用する印象です。
やはり自身でもギターボーカルをする人なので、歌に対してのバッキングのリズム取りが良いというか、
ちゃんと歌とセットで考えられたバッキング作りが上手いと思います。
そして、結構大変な内容でも弾きながら歌える器用さが凄いですね・・・笑
このアルバムで特に好きなのが、8曲目''Founded What I Needed''。
これだけ少し毛色が違ってて、メタルなR&B/Soulテイストというかファンキーというか・・・
ひょっとしたら本人的にはジミヘンのイメージかもしれません。
出だしだけ採譜してみました。歌入ってからのバッキングもカッコイイんですが、長くなるので省略・・・。
こう見るとExtremeなんかに近いですね。
ビートと拍に少しトリックがあるのか、聴こえたままで拍を捉えると辻褄が合わない作りになっています。
僕の解釈が正しいかは不明ですが、上記の譜面なら歌入りまで4/4で数が合うのでこれかな〜と。
ひょっとしたら入りの位置ずらして、ラストで2/4を追加して帳尻合わす解釈の方が弾きやすいかもしれません。
この曲以外にもダンサブルな曲を作ってたりするサイクスは、メタルギタリストには珍しい引き出しを持ってる印象です。
本人もインタビューで色々な音楽を聴くって言ってました。
『ジャズ/フュージョンのように小難しいスケールを多用するのはスタイルじゃないけど、どんなものか知るために一応練習はしてる』みたいな事も言ってましたね。(※フィル・ライノットの発言だったかも)
まあでもゲイリー・ムーアが好きならアカデミックな演奏にも興味はあるだろうなって気はします。
そんなサイクスは、近年では新曲を少し公開してからは具体的な動きもなく、
方々で語られている話しによれば音楽ビジネスから撤退したようで、以前からたまに持ち上がっていたプロジェクトの進捗は絶望的です。
昔からバンドメンバーとうまく合わない性格のようで、人と一緒に作業するのが苦手に見えます。
多分めちゃくちゃ凝り性&手が遅いんでしょうね・・・笑
良く言えば芸術家タイプですが、気分が乗らないとトコトンやらない人なのかも。
これは出す出す詐欺のまま時が経過してるアルバムに収録予定の曲。
2021年に公開された曲(予定では2018年だった)ですが、相変わらずのサイクスサウンドでかなり安心できる内容なのはイイですね。
こういうのって時代の波を受けすぎてコレジャナイ曲調になることが多々ありますが、
ガチで音楽から離れて隠居してるのかってくらい昔と遜色ないです。笑
当時のストックかもですね。
復帰を望む声は多いようですが、なかなか難しそうだなあ・・・と。
最近になってまたサイクスの演奏を聴いてますが、やっぱりカッコイイですし、
高速のペンタやランフレーズには憧れますね。
あとライブでもクソ上手いし、立ち姿がイカス。
Dirty Fingersピックアップが欲しいですね・・・。
余談ですが、その昔にビブラートに大きな影響を受けていた僕は、当時の師匠から
『なんでもかんでもビブラートの振り幅が広すぎるからもっと曲調に合わせなさい』と言われた事があります。笑